*対人援助にかかわる人を対象とした講座です

 オンライン、ハイブリット講座については講座終了後1週間の録画視聴ができます。

対人援助の感性を磨く

~ホスピス医に学ぶ~

講師: 小澤 竹俊 先生 

めぐみ在宅クリニック院長 在宅ホスピス医

 「人は痛みを分かってくれると感じた人の前では苦しみを見せることができます。自分と違う人をそのまま『わかる』ことは難しいことですが、『理解者になる』ことはできます。そのためには、自分の価値観を押し付けるのでなく、相手の声に耳を傾けることが必要だと思っています」と小澤先生はおっしゃいます。苦しみを抱える人の理解者になることは簡単なことではありません。本講座ではどのようにしてその方法を身に着けていくか、ワークを通して学びます。

 小澤先生はスピリチュアルケアの理論を通して、人の苦しみとはどのようなものか、寄り添って支えるとはどういうことかわかりやすく教えてくださいます。

                              

 

子どもの心の育ち~育てにくい子・育てる親をどう支えるか~

講師: 田中 哲 先生  子どもと家族のクリニックやまねこ院長 

元東京都立小児総合医療センター副院長 児童精神科医

 人間の子どもは、他の動物に比べて超未熟児で生まれます。そのため、子どもの心は養育者のまなざしを受けながら人とのかかわりの中で育っていきます。ほかの動物とは異なり、「育ち」の過程が大きく影響するのです。
 育てにくい子を持つと、他の子どもと比較して焦りを感じたり、苛立ちが止まらなかったり、つい叱責しては後悔したりと親の気持ちも揺らぐものです。子どもの心の育ちのためには、子どもだけでなく、親の心を支える周囲の温かいまなざしが大切です。
 本講座では、自立に至るまでの子どもの「心の育ち」を発達障害や愛着障害の専門家で被虐待児支援に携わっていらっしゃり、いつも温かいまなざしを持つ田中哲先生から学びます。

  

マインドフルネス

講師: 川野 泰周 先生

RESM新横浜睡眠・呼吸メディカルケアクリニック副院長 精神科医 禅僧

 医療・矯正・教育だけでなく企業研修など幅広い分野でも取り組まれているマインドフルネスは、今この瞬間の体験に意図的に意識を向け、評価せずにとらわれのない状態でただ観ることです。マインドフルネスを実践することで、未来でも過去でもなく、今のありのままの自分に気づき受け容れ、その結果として心や脳を休息させることが出来ます。
マインドフルネスはセルフコンパッション(自分にやさしくできる)を高める最良の方法として注目を集めています。自己批判が強いとうつ状態や人生に対する不満をもたらしますが、セルフコンパッションを高めることで肯定的感情、自尊心、社会的繋がり、幸福感が高まるなど、心身の健康増進だけでなく、精神疾患の治療効果も実証されています。
 講師の川野泰周先生は、精神科医でありながら、禅寺で 3 年半にわたる修行生活を送った禅僧でもあります。

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共依存

講師: 吉永 陽子 先生  

三生会病院院長 精神科医

 対人援助の場面で、熱心に相手に関わろうとするあまりに、本来は相手がすべきことまでを引き受け、結果としてその人の依存症を悪化させてしまう関係があります。これを「共依存」関係と呼びますが、家族など身近な人との間だけでなく、援助職との関係でもよく起こります。

 共依存関係にあると、特定の相手に必要とされる事で自分の存在を確認し、その相手に献身的に対応するので、お互いが無くてはならない存在になり離れがたくなります。また、このような関係においては、自分が相手のためになると思い込んでいるため、お互いに依存し合っていることを自覚しにくい特徴もあります。 本講座では、精神科臨床経験の豊富な吉永陽子先生から、対人援助の場面で起こりがちな共依存についてお話しいただきます。

             

認知行動療法〜ストレスコーピングを中心に〜 (中止)

講師: 伊藤 絵美 先生  

洗足ストレスコーピング・サポートオフィス所長 臨床心理士  

 認知行動療法は、うつ病や神経症などに高い効果が実証されている短期の心理療法です。

 一般的には専門家が治療の場面で用いますが、専門家でない人であっても、その知識は日常のちょっとしたストレス場面で応用することができます。ストレスを感じた時、その人自身が自分の考え方や行動の癖を知って、その幅を少しでも広げることができれば、うつ病などの心の病気を予防したり、気持ちを軽くしたりすることができます。

 本講座では認知行動療法の基本的な考え方と、ストレス・コーピング(ストレスに対する意図的な対処法)について学びます。自分自身がストレス・コーピングの効果を実感することで、対人援助場面でも生きた知識として役に立てることが出来ます。

   

大人の発達障害

講師: 柏 淳 先生

ハートクリニック横浜院長 精神科医

 

発達障害の支援にかかわっていると、障害の有無で線引きすることの難しさを感じると同時に、障害を持っている人を支えるために誰かが犠牲になるというような場面に遭遇して、釈然としないことがあります。ニューロダイバーシティの視点を取り入れて障害を見ると、発達障害の支援も当事者の為だけのものではなくなり、誰もが恩恵を受けられる可能性が広がります。

本講座では、1日目は発達障害全般を、2日目はニューロダイバーシティの視点から「大人の発達障害」をどのように捉え、支援につなげるのかについて、成人の発達障害に詳しい柏淳先生にお話しいただきます。 「定型発達と言われる人でも、特性(凸凹)は必ずありますし、みんなその弱点を最小化し、強みを最大化するように知らず知らずに工夫していることでしょう。これを発達障害者の困りごとまで外挿し、みんなでやり方を考えていける世の中にする…ニューロダイバーシティについて皆が知ることは、そうした明るい未来への第一歩なんだと、私は考えています」(柏先生ブログより)

 

ブリーフ・セラピー

講師: 田中 究 先生

関内カウンセリングオフィス代表 公認心理士・臨床心理士

ブリーフ・セラピーはコミュニケーション(相互作用)を活用して問題を解決・解消していこうとする心理療法です。「個人の心理」や「本当の原因が何か」に囚われることなく、何が変化に役立つのかに関心を持ちます。症状や短所を掘り下げるのではなく、未来を志向し、またクライアントの能力や資質をリソースとして尊重しますが、特徴的なのは、「使えるものは何でも使う」姿勢であり、時にクライアントの症状や短所や過去でさえも活用しようとします。 本講座では、ブリーフ・セラピーや家族療法がご専門の田中究先生より、ブリーフ・セラピーの考え方や、対人援助の場面で明日から使えるテクニックを具体的にお話しいただきます。

 

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心理面接~見立てと方針~

講師: 岩倉 拓 先生  

あざみ野心理オフィス 、日本精神分析学会認定心理療法士 聖マリアンナ 医科大学・横浜国立大学非常勤講師

 

 私の長年の問いは、実際のさまざまな現場とニーズの中で、心理面接をどのように組み立てていくか?です。
 事例にあたるとき、問題の全体像を掴むため、本人のみならず、スタッフや家族などの周囲と関わりながら、適切な見立て(アセスメント)を行い、それに基づいて方針を立て、本人と周囲に説明していきます。クライエントにとっては、カウンセラーがどういう存在で何をしてくれるのか、について過剰な期待や、不安や不信もあるでしょう。見立てと方針を設定し、それを共有していく過程がとても大切になります。面接のはじめの時期だからこそできることがたくさんありますし、時に臨機応変さや直感的な対応も求められます。心理面接の成否は、この見立てと方針の時期にかかっていると言っても過言ではありません。
 講義では、1)その現場を見極めること、2)相談者及び周囲のニーズを見極めること、3)本人周囲への働きかけの実際4)カウンセラーの直感・直観についても現場に即してお話ししてみたいと思います。
          あざみ野心理オフィス・聖マリアンナ医科大学 岩倉 拓

  

          

カウンセリングの技法~ケース スーパービジョン~

講師:福島 哲夫 先生 大妻女子大学教授 成城カウンセリングオフィス所長 臨床心理士

 カウンセリング(心理療法)には、その人が持つ本来の力を回復したり、成長を促したりする効果があります。一般にカウンセラーは自分のことは話さず積極的な評価をしないで中立な立場で傾聴することが求められますが、場面によってはカウンセラーの自己開示や肯定的な介入がクライエントに効果的な変容をもたらすこともあり、それが人を育む積極的な関わりになることもあるのです。もちろんそれが単なる技法であってはならず、その背景には常にカウンセラーとしての純粋な姿勢を持ち続けることが肝要です。本講座では、事例のスーパービジョンを通して、技法や関わり方について整理していきます。講師は幅広い理論背景と豊富な経験をお持ちで、後進の育成に力を注がれ、また常に臨床家としてあり続ける福島哲夫先生です。

 

アサーション (対面型1日講座 オンラインではありません

講師:園田 雅代 先生 創価大学教授 臨床心理士

アサーションとは、自分の考えや気持ちを正直に率直にその場にふさわしく自己表現をすることで、自分も相手も大切にするコミュニケーションです。対人援助にかかわる人は相手の気持ちばかり優先して、自分の気持ちを感じることも伝えることも後回しにしがちですが、本当に言いたいことを言わずにいると、伝わらないだけでなく、我慢が積み重なって無意識のうちに感情的、攻撃的になったりして後味の悪い思いをすることもあります。アサーションは、そのコツを知って練習することで、誰でも身につけることができますので、対人援助にかかわる人には是非身につけていただきたいスキルです。

園田先生はアサーションをご自身で日々実践されて、その素晴らしさをわかりやすく私たちに伝えてくださいます。